新規開拓営業とは売れる仕掛け作りの作業です

偉大な発明や発見が、研究室や実験室ではなく、実は散歩中などのリラックスしている時に生まれることが多い、という事実は、よく知られています。
あまり張りつめてばかりいないで、少し休憩しましょう。
■ 空気を読む(2006.6.25)

 5年に及んだ小泉政権も最後の国会を終え、いよいよ秋の総裁選に向けて走り出しました。その候補者には、それぞれの名前から一文字ずつ取って、麻垣康三と呼ばれる4人の人たちが挙げられています。皆、立派な方たちばかりですが、その中で1人だけ、“営業の視点”から気になる人がいます。それは、麻生外務大臣です。

 話は2月のトリノオリンピックまで遡ります。あの時、巷では、15歳の浅田真央選手が、オリンピックに出場できないのはおかしい、という話で持ちきりでした。スケート連盟に例外を申請すべきではないか、などと日本中で議論されていたことは、皆さんも覚えていると思います。
そんな中で、「例外を認めろという方がおかしい」と発言したのが、ご自身も射撃でオリンピックに出場したことがある、麻生大臣でした。
「ルールはルールだ」ということを言いたかったのだと思います。確かに正論です。

 しかし、これは営業の視点から見ると話が違ってきます。それは、営業という仕事は、正論で相手をやり込めても何の意味もないからです。政治家という立場も、極論すれば、人気投票でその立場が維持されるわけですから、必ずしも正論がよいとは思えません。

 この話で言えば、「年齢制限」というルールがあることくらい、誰だって知っています。しかし、それがあまりにも根拠のない、そして政治的意味合いの強い、おかしなルールだから、誰もが騒いでいたのです。そうでなければ、なぜ、オリンピックはダメなのに、グランプリシリーズには出場できるのか、ということが説明できないからです。
 その一点だけでも、スケート連盟の言っている「成長期の子どもに無理をさせないため」という説明は、論理破綻しています。

 しかし、麻生大臣は、そのような多くの人の疑問や不満に対して、「悪法も法」の論理を持ち出してしまったわけです。私はそこに、融通の利かないお役人の姿を見る思いがしました。そして、「まるで空気を読めない人だ」という印象を持ちました。営業なら、確実に売れないタイプの人です。

 さらに直近では、外国人記者クラブでの講演で、小泉総理のことを「壊すだけで、その後に何を創るかを示さなかった」と批判しました。これも、同じ種類の話です。
 なぜなら、多くの国民は、既得権のシステムを「壊す」という一点で、彼をトップに選んだからです。小泉総理自身も、そのことは充分に理解していたはずです。
 明治維新から営々と築き上げてきた既得権のシステムを「壊す」という作業が、いかに大変なのかを、誰もが知っていたからです。麻生大臣は、そのことを理解していなかったとしか思えません。ここでも空気を読めていないのです。私はその発言を聞いて、ピントの外れた「お説ごもっとも」としか受け取れませんでした。

 対人折衝を生業にしている営業であれば、このような事例は教訓にすべきです。絶対に、場の空気を読み間違えないことです。政治活動でも営業活動でも、ゴールは選挙民やお客様から共感や指示を得ることであって、もっともらしい理屈で、相手に冷や水をかけることではありません。それだけは、絶対に忘れてはいけないことだと思います。


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